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「家庭教育」というチャンス
そこでもう一度原点に戻って、「ゆとり教育」の掲げる「総合」や「子どもたちを家庭に返す」ということの意味を考え直してみよう。
これは、単に「子供を遊ばせておけ」ということではないのは明らかだ。ましてや、「ほったらかして家でゲームでもさせておきなさい」という意味ではないのである。
いや、真意としては、むしろ「学校でできない教育を家庭でやってほしい」ということではないのか。
家庭での教育。これは、家庭にとって負担ではあるが、同時にチャンスでもある。
子供を通わせている学校への不安は誰にもある。中学受験塾に煽られるまでもなく、どんな教育制度も完全ではないから当然だ。
ただ、学校が子供を拘束する時間が長すぎると、親が何かしようと思っても「使える時間」は限られてしまうし、疲れて帰宅する子供にとってはかえって逆効果になることもある。だとすれば、「ゆとり教育」で授業時間が減らされたおかげで、家庭にとって望ましい教育を子供に受けさせやすくなったと考えることもできるのである。
学ぶべきことは増えている
問題は、どんな教育をするべきかということだ。塾に通わせるというのも一つの選択肢ではある。スポーツをさせたり、英語を習わせたりすることもできる。費用をかけないやり方としは、科学館などの施設に連れて行ったり、読書をさせたりするということもある(「費用をかける」よりも「時間をかける」ことが望ましいと考えられている気もする)。いずれにしても、家庭での教育では、子供にどんなことをさせたらいいのか、どんな知識や技能を身に付けさせたらいいのか、親自身が考えなければならない。そのことを意識しているか否かで大きな差が付くのである。
こう考えてみると、「ゆとり教育」による授業時間の削減にしても、「子供たちを学校から家庭に返す」という方針にしても、実は「ゆとり」どころの話ではなくて、むしろ「子供にとって学ぶべきことが増えている」ということの表れではないかという気がしてくる。技術の高度化、社会の変化があまりにも激しく、学ぶべき内容が増えた上に多様化しているために、決まったカリキュラムを教える学校という制度では対処しきれなくなった。そこで「家庭でも教育に参加してほしい」というのが、文部科学省の真意ではないかという気さえする。
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学力が「ゆとり」を生かす
ところが、現実はそう甘いものではない。第一、時間がない。「学校外で学ぶべきことが増えた」結果として、子供を家庭に返すのはいいが、そのために学校を週五日制にし、授業時間を減らした。学習内容も削減された。しかしながら実際のところ、学校外で起きていることの現実を理解し、解釈するには、すでに相当高度な学力が身に付いていることが前提になる。学力が伴わなければ学校外の活動などは単なる遊びにすぎないからである(これは「科学館」を例に詳しく述べた通りだ)。その一方で、確かな学力を身に付けている子供の場合は、現実からも学ぶことができるし、それがさらに学力を伸ばすことにつながるだろう。
つまり、あたかも学力が軽視されているかのようにみえる「ゆとり教育」だが、学力がなくては「ゆとり」は生きてこないのだ。学力の重要性はむしろ増しているのに、授業時間や学習内容が減らされるという、いわば矛盾したかたちになっているのである。
「経済格差」は「教育格差」か
本気で「ゆとり」を生かそうとするなら、効率的な学習によって、少ない時間でより高度な水準の学力を習得する工夫が必要となるが、それについては各家庭に委ねられている。となると、それなりの対策をとる家庭もある一方で、何もしない家庭がでてくるのは当然だ。
その意味で、「ゆとり教育」とは、家庭の意識の違いが教育効果の大きな差となって直にあらわれる制度なのである。言わば「教育における家庭の自己責任」が問われているのだ。
それは確かに「格差」ではあるだろう。世間では多くの場合、「教育格差=経済格差」として論じられている。すなわち、親の経済力のあるなしで子供の学力も決まるという説である。だが、現実はそんな単純なステレオタイプで割り切れるものではない。本当に大事なのは、親のちょっとした意識の違いなのではないだろうか。筆者はそう信じている。従ってこのサイトでは、家庭の意識さえ伴っているならば、高価な塾などといった費用をかけずに学力を向上できる方法を探究していきたい。
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