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受験業界にだまされない家庭学習法

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「塾選び」で頼れる本

 

受験業界と金融業界

 受験業界、学習塾業界について調べてみると、この業界の体質が、証券投資コンサルタント業といった金融業界と非常によく似ていることに気が付く。

意外に思われるかも知れないが、一方は「株の値上がり」への期待を、他方は「志望校への合格」への期待を商売のタネにしている。つまり、どちらも将来の「必ずしも確実とは言えない可能性」を売り物にしているのだから、自然とその物言いが似てきたとしても不思議ではない。

事実、両者のすることは、政府などの失敗をことさらに強調して不安を煽る(「国の借金による財政破綻」、「ゆとり教育による学力低下」など)一方で、結果が期待通りとならなかった場合の責任は顧客に押し付ける(「投資は自己責任」、「生徒の努力不足」など)ことまでそっくりだ。

 

 

規制なき業界

 だが、無視できない違いは、最近の金融業界は規制でがんじがらめになっているのに対して、受験産業・学習塾は全く規制の及ばない業界だということだろう。

規制により、金融業はあらかじめ顧客にリスクを説明しなければならなくなったが、受験産業・学習塾はと言えば、「不合格のリスク」を語るどころか、未来がいかに不確実であろうとも「絶対合格」を語れるし、「不可能を可能にする」などという営業トークが許される業界となっている。むろん不合格のリスクは言わずもがなであり、生徒のモチベーションも上げなければならないのだから、致し方のない面もあるにはある。

規制のない受験産業・学習塾は、新規参入も容易である。そのため、毎年、小さな塾が雨後の筍のように現れては消えていくことになる。昔からの習慣で、子供の塾通いは当然とお考えの方も多いとは思うが、かくも栄枯盛衰の激しい業界で大仰な宣伝合戦を繰り広げられては、適当な塾を選ぶことも容易なことではないだろう。

 

「塾選び」を選ぶ

 そこで、ここでは「塾選び」をテーマに取り上げる。

 しかし、いきなり「塾選び」を始めることはお奨めしない。

 なぜなら、何の予備知識もない、いわば無防備な状態で塾を探し始めるのは、金融について何も知らない人が証券会社に出かけて、いきなり窓口のお姉さんに「株下さい」と頼むようなものだからだ。

 つまり、たまたま良いところに当たれば別だが、カモにされる可能性が高いのである。

 だから、やはりまず「塾選び」についても知識を仕入れるようにお奨めしたい。

 参考資料は、「塾選び」に関する主な書籍の一覧である。

 

参考・「塾選び本」一覧

 

 ところが、これを見ると、『間違いだらけの・・・』といった同じような書名が並んでいて、ここから選ぶことさえなかなか難しそうである。

株式投資の本にもピンからキリまであるように、書籍化された「塾選びのポイント」も決して一様ではない。しかも、小中高とお世話になるとすれば、相当な金額を投じることになるのだから、この段階から慎重にやっておいて損はないのだ。

まさしく、「『塾選び』を選ぶ」ところから、すでに「塾選び」は始まっているのである。

それでは、数ある「塾選び本」から、参考にするべき良書を選ぶポイントとは何だろうか。

 

業界関係者の本かどうか

 まず、著者が「学習塾・進学塾業界の関係者」である本と、そうでない本とを区別することである。それというのも、著者が塾の経営者であったり、現役の塾講師であったりすると、その塾の宣伝本である可能性が高くなるからだ。

この手の本では、おそらく、出版にかかる費用は著者持ちというケースも少なくないだろう(その程度の投資は、読者が1人でも入塾すれば回収できるかも知れないのだから)。だとすると、そこに書かれた「塾選びのポイント」が客観的なものであるとはあまり期待できない。

 従って、お奨めは「塾業界の関係者でない著者」による本となる。すなわち、ジャーナリスト、ルポライター、フリーライターなどによるものだ。

もっとも、このような著者の場合、もともと業界の事情に疎いという難点がある。従って、塾の周囲をよほど綿密に取材するか、でなければ塾経営者などにインタビューしながら書くことになるだろう。

けれども塾関係者に直接取材すれば、その塾にとって都合の悪い話など出るわけがない。そうなると、結局これも塾の宣伝本のようになってしまうおそれがあるのだ(最悪の場合として、経営者がライターを雇ってヨイショ本を書かせているというケースもあり得る)

また、両者の中間として「著者が元塾講師」という本もよくあるようである。この場合は、直接の業界関係者というわけではないし、完全に部外者というわけでもないが、著者の個人的な経験に偏りすぎているかも知れない。

 

「具体的な塾の名」があるか

 もう一つ留意するべきポイントは、本の中で「具体的な塾の名」を出しているか、出していないかということである。

 具体的な塾の名を出している本の場合は、あまり悪いことは書きにくいものだ。その塾の宣伝本である場合は論外だが、名誉毀損とか営業妨害などで訴えられてもとことん戦うくらいの覚悟のある著者が、あえて学習塾をテーマに選ぶとも考えにくいのである。

また、やはり変化の激しい業界だけに、具体的な塾名を出して記述が詳細なものになればなるほど、内容が古くなりやすいという難点もある。

実際、発行から年数がたった本を読むと、そこで推奨されている塾が倒産してもはや存在しないということがままある。その塾の推奨ポイントが仮に真実だったとしても、なくなってしまってはどうしようもない。

 一方、具体的な塾名を挙げずに「塾選びのポイント」を論じた本の場合は、内容は古くなりにくいだろう。学習塾・進学塾業界の勢力図がどう変わっても、学習指導要領がいかに改まっても、勉強というものの本質が変わらない限り、「塾選びの原理・原則」はそう変わるものではないからだ。

だが、具体的な塾の名がないということは、どの塾がどうかという評価は書かれていないということだ。ということは、わが子を通わせようとしている塾、あるいは通っている塾がどんなものなのかは、その「塾選びのポイント」に照らして自分自身で判断しなければならないということである。

もっとも大手の進学塾ならばいざ知らず、中小の塾や個人経営の塾などの場合は、経営者自身が著者として宣伝本などを書かない限りは、本などに取り上げられるケースもめったにないだろう。従って、このような本に書かれている「塾選びのポイント」で判断するしかないのだ。

 

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「塾の口コミ」総集編

では、以上のような観点から、参考になる「塾選び本」とは、どのようなものだろうか。

ここでは、特に2冊を推奨しよう。

『間違いだらけの塾選び』(杉山由美子/)

『子どもの「底力」が育つ塾選び』(小宮山博仁/)

である。

まず、『間違いだらけの塾選び(杉山由美子/)は、「学習塾・進学塾業界の関係者ではない著者」による「具体的な塾の名を出している」ルポルタージュ的な内容の本である。

これに対して、『子どもの「底力」が育つ塾選び(小宮山博仁/)は、「具体的な塾名を挙げていない本」であり、そこに述べられたポイントを参照しながら、読者が自分で塾の良し悪しを判断するタイプのものである。

 これらは性格が異なった本だが、わが子をそろそろ塾に入れようかと考え始めた親にとって、いずれも一読の価値のある好著だと言える。

 注意するべきことは、『間違いだらけの塾選び』のほうは、中学受験がテーマとなっているので、中学受験と直接関わらない補習塾などは取り上げられていないことである。その一方で、よく知られた大手の進学塾の特徴にかなりのページがあてられているので、中学受験業界の見取り図を手早く得たい人にとっては好適な本だと言える。高額な費用、親子ともに味わわなくてはならない極度のストレスなど、中学受験のマイナス面もかなり取り上げられていて、塾の実名入りのルポとしてはかなり踏み込んだ内容になっている。

著者が塾に直接取材をしたかどうかはよくわからない。だが、本書の特徴としては、子供を塾に通わせていたお母さんを中心に取材していることだ。その意味で、中学受験塾の「口コミ」総集編のような雰囲気がある。もちろん、単なる「口コミ」や評判記などではなく、綿密な取材に基づいているという意味で信頼の置ける内容となっている。

 

「動機付け」からみた塾選び

 これとは対照的に、『子どもの「底力」が育つ塾選び』には、具体的な塾名を匂わせる記述は全くない。むしろ、およそ「学習塾」と名が付くものなら、難関中学の受験に特化した進学塾から学習の遅れを取り戻すための補習塾までを含むすべてに適用されるべき一般的な「塾論」とでも言うべき内容だ。

本書では、まず、「今必要とされる学力とは何か」から始まり、「そのために何故塾が必要なのか」を論じ、次いで進学塾・補習塾・総合塾といった「塾のタイプ」とその特徴を述べる。そして、「子どもを行かせたい塾」とは、また「子どもを通わせたくない塾」とはどんなところなのかを、経営・講師その他、さまざまな面から論じている。最後にはチェック・シートまで付いている念の入れようだ。

 著者の小宮山氏にとって特にキーとなるポイントは、「内発的動機付け」と「外発的動機付け」の区別である。

ちょっとわかりにくい言い方に難点があるが、要するに、「内発的動機付け」とは、子供が自らやる気を起こすように仕向けるということであり、反対に「外発的動機付け」とは、子供が本当はやりたくないと思っていることを無理やりにやらせているということである。

小宮山氏によれば、正しい塾選びとはすなわち「内発的動機付け」のある塾を選ぶということだ。

むろん、塾の経営者や講師に「おたくは内発的動機付けですか」と聞いても仕方がない。そこで、いくつかのチェック・ポイントを見ながら親が自分で判断しなければならないということになる。

 

「無料体験授業」は受けるべきか??

 これら二つの本は、学習塾の業界を二つの異なった観点から論じており、両者を併せて読むなら、受験業界がどんなところなのか、立体的に理解できるようになるだろう。だが、両者の主張の食い違いも面白い。

 例えば、塾のチラシなどでよく見かける「無料体験授業」について、『子どもの「底力」が育つ塾選び』では積極的に受けてみることを奨めている。

ところが、『間違いだらけの塾選び』ではそうではない。「無料」だと思って気軽に受けてみたが最後、ずるずると引き込まれて、高額の月謝を払わされることになるというのだ。その額は、これから受験することになる私立中高一貫校の授業料よりも高い。しかも、なんだかんだ言って個別特訓その他のオプションを取らされるので、年間の費用は100万円にもなるという。これが小3、小4あたりから3年も4年も続くのである。

 「無料体験」なんだから、とりあえず体験だけして止めておけばいいじゃないか、と普通は思うのかも知れない。しかし、鳥居りんこ氏の著書にもあるように、塾講師の連発するギャグがやたら面白いのか、子供が「この塾に行きたい」などと言い出し、「まあいいか」と通わせているうちにやめられなくなるらしい。

そうやってめでたく私立の中高一貫校に合格できたとしても、塾代と学校の授業料などで卒業までにかかる出費の総額は1000万円にもなるというのだから、まさに、「タダほど高いものはない」を絵に描いたような図である。

 

「塾に行かない」という選択

日本経済ばかりか、世界経済までも不安がいっぱいの昨今、たかだか義務教育程度のことに、そんな費用をかける余裕のある家庭は実際のところそう多くはないのではないだろうか。「塾通い」とは義務教育と同じくらい当たり前のことで、見直しの対象ともならないのかも知れない。しかし、累計してみれば家計の負担は相当なはずである。しかも、今は世の中の行き先がまったく見通せない時代になってしまった。義務教育段階で費用をかけすぎたところに、もし万一、何か不測の事態が起こって、高校くらいで資金が尽きてしまったらどうするのか、一度考えてみるべきではないのだろうか。

超名門の中学・高校を出たとしても、大学を卒業しなければ無学歴なのである。「東大中退」は、「高卒」と同じなのだ。

 むろん、「塾選び」の本には、「塾に行かない」という選択については書かれてはいない。だが、これからは「塾に行かない」という選択肢についても検討するのが当たり前になるだろう。

それというのも、10年前には考えることもできなかった世の中の変化を目の当たりにしながら、「塾通い」という親世代だけの、しかも日本以外では通用しない「常識」にこだわることに、もはやそれほど意味があるとは思えないからである。百ます計算の陰山英男氏なども指摘されているように、高学力で有名なフィンランドに塾はない。

しかも長年にわたる「塾通い」の費用を考慮するなら、「塾に行かない」という選択はあり得ないどころではない。それによって、生活は相当楽に、豊かになるはずである。

塾に行かずに学力を伸ばすことは可能なのである。

 

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